腹式呼吸の方法(胸式呼吸との違い)と健康上の効果

腹式呼吸法(ふくしきこきゅうほう)とは、肋骨を大きく広げて息を吸う普通の深呼吸とは異なり(これは胸式呼吸(きょうしきこきゅう)と呼ばれる)、胸郭をなるべく動かさず、腰や背筋の動きによって横隔膜を動かして呼吸する方法である。

呼吸をするには肋骨を開いて拡げる方法と横隔膜を収縮させる方法があるが、横隔膜を大きく動かす腹式呼吸は腹筋をはじめとする全身の筋肉の弛緩を促し、また内臓への刺激にもなるため、いろいろな健康上の効果があるといわれている。

腹式呼吸の健康上の効果は、次のようなものがあるといわれている。

●腹式呼吸による大きな呼吸は、呼吸中枢である延髄に刺激を与えることにより睡眠を促す効果があり、不眠解消に繋がる。

●腹式呼吸による呼吸は血行を促進し、それによって内臓の働きが活発になるため健康が増進され、肌の艶などがよくなり美容にも効果がある。

●腹式呼吸は副交感神経の働きを刺激し、交感神経と副交感神経のバランスがよくなることでその効果として体調がよくなる。

●腹式呼吸をすると心拍数が減り、血管拡張効果があるため、血圧低下の効果がある。

●腹式呼吸をすることで、血管中に中性脂肪が沈着して動脈硬化を起こしたり、動脈瘤ができるのを防ぐことができる。

腹式呼吸の実際の手順とやり方のポイント

<腹式呼吸の方法・実際のやり方>

●腹式呼吸法手順1
上体を前傾姿勢にしてお腹を両手で押さえ、5秒くらいの時間をかけて口から息を吐き出す。

●腹式呼吸法手順2
上体をゆっくりと立てながら鼻からゆっくりと息を吸う。少しずつお腹がふくらませていく感じ。吸った息を丹田にためていく感じを持つ。 

●腹式呼吸法手順3
ゆっくりとお腹がをへこませながら口からゆっくり時間をかけて息を吐く。息を吐ききったと思ったところで、さらに最後に肺に残る息を出すようにして全部吐ききるようにする。

●腹式呼吸法手順4
鼻から吸って口から吐くことを基本とし、これを繰り返す。



<腹式呼吸のトレーニングの仕方>
●最初は吸うのに5秒、吐くのに10秒ぐらいの時間を目安とする。
●徐々に慣れてきたら、吸う時間を長くしていき、吐く時間はその3倍をかけるようなイメージで行う。
●最終的には吸うのに10秒、吐くのに30秒を目標として、ゆっくり時間を延ばしていく。
●息を吐くときは口を薄く開いて自然に息が漏れるような感覚で行う。肺に残っている空気を最後まで絞り出すように吐き出す。


<腹式呼吸の実践で注意すべきポイント>  
●リラックスした雰囲気で行うこと。
●腹式呼吸をやっている間は、目を閉じないこと
●息を吐き出す際にはゆっくりと吐き出し、一気に強く吐かないこと。
●腹式呼吸の途中で息を止めないこと

腹式呼吸の歌・発声への効果とボイストレーニング方法

腹式呼吸は声楽におけるボイストレーニング(ボイトレ)にとても有効である。
歌を歌う際、胸式呼吸だと呼吸が浅く、肺の上の方で息を吸っているため、胸やのど、肩に余計な力が入り、声が出にくい。つまり歌唱においては、胸式呼吸で胸郭を動かすとノドの周りの筋肉に余計な緊張を生むうえ呼気の連続性を損ない、声が出にくくなるのである。

声楽のボイストレーニングで腹式呼吸を練習するのは、腹式呼吸をしながら歌った方が、声を出しやすいためである。

腹式呼吸が胸式呼吸と最も違う点は、腹式呼吸は横隔膜の動きを伴うということである。

この腹式呼吸における横隔膜の動きは声楽において歌を歌う際に非常に重要で、腹式呼吸が声の安定の要となる。

腹式呼吸をしながらボイストレーニングを行い、歌う際に腹式呼吸ができるようになると非常に声を出しやすくなる。

腹式呼吸をしながらボイストレーニングを行う際のポイントは、歌いながら腹式呼吸を行う際、お腹を膨らませるだけではなく、十分に横隔膜を使いきるように背中の動きにも注意を払いながらより深い呼吸ができるよう練習を繰り返す。

腹式呼吸がきちんとできているかを見極めるコツとして、腹式呼吸をしながら歌ったりボイストレーニングをする際、胸や肩が上がっていないかチェックするとよい。

腹式呼吸のダイエット効果とその根拠

最近、腹式呼吸を行うことがダイエットに効果があるということで、よく話題になっている。腹式呼吸が直接的にダイエットに効果があるかどうかはいろいろな意見がある。

しかし、腹式呼吸を行うことで、健康面での効果がたくさんあることは実証されているので、すぐにダイエット効果に繋がらなくてもぜひ実践を心がけたい。

腹式呼吸がダイエットに効果があるといわれている根拠として、腹式呼吸が副交感神経を刺激し、血行を促進したり体の酵素の分泌を盛んにしたりするなど、腹式呼吸をすることで体全体を活性化し代謝を高める効果があるためといわれている。
消化器系の活性化や便秘の改善効果など、ダイエットに効くと思われる効果もあることは確かである。

腹式呼吸をすることで自律神経のバランスを整え、体調をよくする効果によって、ダイエットに繋がるものと考えられる。

腹式呼吸を行うことで、リラクゼーション効果も期待できることから、精神的な面でストレス解消や精神バランスを取り戻すことにより、ダイエット効果が出てくることもある。

腹式呼吸はこんな効果も期待できる!

腹式呼吸のダイエット効果が最近のダイエットブームで注目されているが、腹式呼吸でダイエットをすることがなぜそのように注目されるかというと、それは従来のダイエット法のように厳しい食事制限や過激な運動などをしなくても、ただ呼吸法として腹式呼吸を実践するだけという楽で簡単な方法でダイエットができると言われるからだ。

しかし、腹式呼吸を行うだけで劇的なダイエット効果を期待するのは難しそうだ。
むしろ体全体の活性化や新陳代謝を促し、体内にたまった老廃物を体の外に排泄し、体質を改善する効果を期待するべき。

腹式呼吸はさまざまな健康上の効果があると報告されており、腹式呼吸を続けることによって、体のむくみや肩こり・冷え性・生理痛・生理不順・疲労・便秘・高血圧・低血圧などが改善され、また花粉症・アレルギー性鼻炎・食物アレルギーなどのアレルギー症状の緩和、不眠症・過食症・拒食症・うつ病などの精神的な疾患に対しても効果があると言われている。